世界は狂っているから面白い

海外ニュースの紹介ブログ。映画好き。

砂糖の代わりにコーヒーに塩を入れるべき理由!?

『A FILM ABOUT COFFEE』という、コーヒーに対する飽くなき探求心を持つ人々を追ったドキュメンタリー映画がある。

A Film About Coffee(ア・フィルム・アバウト・コーヒー) [DVD]

A Film About Coffee(ア・フィルム・アバウト・コーヒー) [DVD]

 

内容(「キネマ旬報社」データベースより)
コーヒーカルチャーの“今”に迫るドキュメンタリー。ニューヨーク、サンフランシスコ、ポートランド、シアトル、そして東京。コーヒーカルチャーを牽引する5つの都市で活躍するプロフェッショナルたちのカップ1杯に懸ける熱い仕事ぶりを追う。
 出典:amazon.co.jp

 コーヒー愛好家たちのコーヒーへのこだわりというものは果てしないものがある。

最近のトレンドはコーヒーに塩を入れる事だそうだ。

一見奇妙にも思えるが、これは実は科学的に裏打ちされたものだそうだ。
有名なサイエンス誌Natureによると、ナトリウムイオンがコーヒーの苦みを抑え、香りを引き立たせる効果があるという。
毎回塩を入れた方が良いというわけではなく、特に苦い時にひとつまみの塩をいれると香りが芳醇になるらしい。
また、コーヒーだけではなく、安いワインにも塩を入れるとなめらかでバランスのとれた香りになるという。
しかし、あくまで隠し味程度にとどめておくべきで、くれぐれも塩の入れすぎには注意だそうだ。

先日のコーヒーの記事はこちら。

yagimiyag.hatenablog.com

海のゴミはどこから来るのか!?その犯人とは・・・

以前投稿した記事のフォローアップになります。

yagimiyag.hatenablog.com

 以前紹介したこの記事では海のプラゴミ問題について書いたが、具体的にどこからそのゴミが来ているのかについては触れなかった。
しかし今回、それに関連したニュースを発見した。

海のゴミはどこから来るのか!?
(記事タイトル和訳)

この記事によると、中国とフィリピンがその大きな元凶のようだ。

記事の筆者はジャワ島の海を泳いだ時、これはやばい、そのうち死体でも出てくるんじゃないかってくらいゴミが浮いてたという。

以前の記事でも紹介したが、毎年800万トンのプラゴミが海に排出されている。
判明したところによると、その主な排出元、それは主に中国、フィリピン、インドネシアだという。
ゴミの海は東南アジアに限らず、世界中の開発途上国においてみられるというが、この現象は経済発展により新たに海辺に住む中産階級の人口が増加したことによるとみられている。
彼らによる消費が増えているのにも関わらず、ごみ管理への対処が遅れているせいだと言う。
ゴミ問題は世界的な問題だ。
例えば、カリフォルニアでは2016年の住民投票によりプラスチック袋を禁止した。
インドネシアでも関係者によるこの問題への対処が検討されているという。

今後も、世界中の新興国が急速に経済発展するにつれて、この海のゴミ問題はより顕在化していくだろうと思われる。前もって、世界的なゴミの排出規制と管理を行う必要があるだろう。

絶対痩せる!?ファスティングダイエットで健康になる。

マシニスト」というサスペンス映画がある。

マシニスト [DVD]

マシニスト [DVD]

 

 内容(「キネマ旬報社」データベースより)

アメリカン・ハッスル』のクリスチャン・ベイルが30キロもの減量を行い、1年間眠っていない男を演じたサスペンススリラー。平凡な機械工のトレバーは、原因不明の不眠症で365日眠れずにいた。そんなある日、自宅の冷蔵庫に不気味な貼り紙を見付け…。
出典:amazon.co.jp

この映画の主役であるクリスチャン・ベールは1年間寝ていない主人公を演じるために1日にツナ缶1つ、リンゴ1個だけの食事で過ごしたらしい。
最終的に63ポンド(約30キロ)減量して54キロまで体重を減らしたという。
これは流石にやりすぎだが、適度に食事を減らすことは身体に良いという研究結果JAMA Internal Medicineに発表された。

ファスティングダイエットによって、気分が上向き、睡眠が改善し、性機能が向上する。
(記事タイトル和訳)

ファスティングとは断食のことである。
カロリーカットは誰にとっても楽しいことではないが二年間、食べる量を減らした結果、被験者は毎日生き生きと生活できるようになったという。

218人の一般的な健康体重の人々を対象に、総摂取カロリーの25%カットを二年間行ったグループと普段通りの食事をしたグループに分けて観察を行ったという。
その結果、ダイエットを実行したグループでは平均して体重が10%、16.5ポンド(約7.5kg)減少したという。
さらにQOL*1、憂鬱、睡眠、性機能の点で、通常と比べある変化がみられたという。
それは、実験1年後には以前と比べ、気分の好転、QOLの上昇、睡眠改善が確認され、さらに2年後には性機能の向上がみられたというものだ。
また、痩せたことで動きやすくなり、ファスティングに慣れることでお腹が空き過ぎなくなったという。
しかし、得られるものは大きくても、二年間のカロリーカットは楽じゃない、と研究者は言う。
カロリーを摂取するのが簡単なこの社会においてはその流れに逆らうようなものだ。
研究者たちは、被験者たちが実験後もダイエットを続けるかどうか、追跡調査を行ったが、中にはリバウンドしたものもいるが、続けている人は続けているそうだ。

食べなければ痩せる、というのは自明の理のようだが、なかなか実行するのは難しいのも現実である。
しかし、かくいう私も以前夕食抜きダイエットで1年間で10kg以上体重を落としたことがあるので、この金言には大賛成である。
ジムに通ってもなかなか体重が落ちなくて困っていたのだが、夕食抜きは効果てきめんであった。*2
まず寝覚めが良くなったし、疲れにくくなって活動的になった。
特に、体調を崩すような事もなかったので、現代人はやはり食べ過ぎなのだと、自分の身体を持ってして実感した。
その後、夕食を食べるようになって体重は5kg戻ったが、一度ライフスタイルを見直したせいか、食べ過ぎる事は少なくなったので適正体重を維持できている。
やはり、習慣を変えるというのは抵抗があるが、実体験としてファスティングの効果は納得できる。
急激なダイエットはリバウンドしやすいと言うし、長いスパンで習慣化して行うのが一番効果的だろう。

*1:Quality of life:人生の質

*2:夕食抜きとは言っても、実際はクラッカーと野菜ジュース程度は摂取した。

コーヒーを飲むと長生きする!?最新の研究報告が示すコーヒーが身体に良いわけ。

ジム・ジャームッシュの「コーヒー&シガレッツ」という映画がある。
11の短編から成るオムニバス映画なのだが、その全てが登場人物がカフェでコーヒーと煙草を脇に、とりとめもない会話を楽しむだけ、というものだ。

コーヒー&シガレッツ [DVD]

コーヒー&シガレッツ [DVD]

 

 コーヒーを一杯 タバコを一服 会話を楽しむ 人生を楽しむ 疲れたココロとカラダを癒してくれる、至福のリラックス・ムービー。
出典:amazon.co.jp

ゆったりとした時間が流れる映画で、何気ないひと時の面白さを感じさせてくれる作品だ。
この映画はタイトル通り、コーヒーと煙草が欠かせないアイテムとして配置されており、身体には良くないが人生にとっては愛すべきものとして描かれている。

そんなコーヒーと煙草だが、近年、煙草の健康被害は問題視され、増税と健康ブームで喫煙者は減少し、飲食店での全面禁煙など、どんどん肩身が狭くなっている。
しかし、その一方のコーヒーはというと最新の研究により、実は健康には悪くない、という発表がされたという。

Circulationという科学ジャーナルに掲載された論文。

Association of Coffee Consumption with Total and Cause-Specific Mortality in Three Large Prospective Cohorts | Circulation

この報告によると1日に5杯以上のコーヒーを飲む人は様々な原因による早死にのリスクが低下するという。

必ずしもコーヒーは長生きの秘訣とは言えないが、被験者を30年間追跡調査した結果、心臓病、糖尿病、脳疾患、自殺等の問題のリスクが日常的にコーヒーを飲んでいた人の方が低かったという。
このことは、コーヒーが直接それらの予防に役に立ったと証明するものではないが、以前よりコーヒーにはインスリン抵抗性*1や慢性炎症*2を抑える働きがある物質が含まれていることが知られている。*3

研究者によると、コーヒーに含まれる炎症を抑える抗酸化物質等の働きをもっと理解する必要があるかもしれないという。
また興味深いことに、デカフェ(カフェイン抜き)のコーヒーでも同様のリスク低下がみられたという。そのため、カフェイン以外の物質が関係していると考えられているようだ。

これらの発表はごく最近のものだ。長年、コーヒーは不健康だとみなされてきた。
しかし、その多くは70~80年代の研究を根拠にしているという。
それら過去の研究によると、コーヒーはガンと心臓病のリスクを高めるというものだが、これはコーヒーの愛好者に喫煙者が多いという事実を無視したものだった。
最新の研究では、コーヒーは健康リスクをわずかだが低下させるという。
ヘルシーなライフスタイルに、コーヒーを取り入れても飲みすぎない限り問題は無いという。

コーヒー&シガレッツ」のように煙草と抱き合わせにされることで、長年身体に悪いと、とばっちりを受けていたコーヒーだが、今後は健康の代名詞になる日が来るのかもしれない。
ただ、健康に良いのはもちろんうれしいのだが、なんとなくコーヒーの魅力が削がれるような気がするのは気のせいだろうか。
身体に悪いけど・・、のエクスキューズが「コーヒー&シガレッツ」に色気を与えていたような気がしてならない。

「精神にとって良いものはみんな身体には悪い」
友川カズキ

 

*1:インスリン抵抗性とは肝臓や筋肉でインスリンが正常に働かなくなった状態をいい、糖尿病の人が血糖値が下がりにくい原因だという。

*2:肥満の状態では免疫応答が過剰で,体内に慢性的な炎症が生じていることが知られており、それが2型糖尿病の発病につながるという。

*3:1型糖尿病は、すい臓のβ細胞が損傷したことによって全くインスリンが分泌されなくなることで発病する。それに対して2型糖尿病は、遺伝的に糖尿病になりやすい人が、生活習慣等をきっかけにすい臓の機能が低下し発病する。2型糖尿病の発病にはインスリン抵抗性が大きく関係していて、血糖値が下がりにくいためすい臓がオーバーワークで機能しなくなってしまうという。肥満や高血圧がインスリン抵抗性の原因だという。

マイケルムーアの「トランプランド」を観た。なぜヒラリーが負けたのかがよくわかった!

マイケルムーアの「トランプランド」を観た。

2016年アメリカ大統領選の直前に、共和党支持者が多いオハイオ州の劇場で、党を超えた様々な支持者を集めてマイケルムーアが行ったワンマントークショーをそのまま映画にしたものだ。

Michael Moore in TrumpLand

Michael Moore in TrumpLand

 

 このトークショーの内容は、まずトランプ支持者についての共感を述べ、それを踏まえた上でヒラリーへの投票を呼びかけるという構成になっている。

マイケルムーア自身は、自分の属性は完全にトランプを支持する怒れる白人たちと同じであるため、彼らの気持ちがよくわかるという。
ムーアは元々、自動車産業の町ミシガン州出身で父はGMの組立工だった。GMが地元の町フリントの工場を閉鎖して移転し、その結果、多くの中産階級貧困層へ転落していくという状況を目の当たりにして映画を撮ったのがキャリアのスタートだ。
なので、選挙演説でトランプがフォードの経営陣に対して、ミシガン州から自動車工場をメキシコに移転させたら35%の関税をかける、と発言した事を受けてとても驚愕したという。
いままでそんなことを発言できる政治家はどこにも存在しなかったからだ。
トランプ支持者の多くは差別主義者ではないし、善良な人々だとムーアはいう。
彼らは、現状に対する切実な怒りや不満を抱え、今までの政治にノーを突き付ける意味でトランプを支持するという。

しかし、ムーアはそれを待ってくれと呼びかける。
君たちの気持ちはよくわかるが、ヒラリーが大統領になった方が子供の教育向上や銃犯罪の防止、医療制度の拡充等、アメリカにとっては良いことが起こると言う。
ヒラリーはずっとガラスの天井と戦い続けている。ヒラリーの事が嫌いなのは良くわかる。旧態依然とした政治家の象徴だ。
それでも、嫌いだと思いながらでいいからヒラリーに投票して欲しい、と演説を締めくくっている。

結果は、多くの中西部、南部の支持を獲得しトランプ新大統領が誕生した。

ヒラリー・クリントンは大統領選を総括して、コミーFIB長官とロシアのプーチン大統領のせいで大統領選挙に負けたと発言している。

・投票日直前に、コミーFBI長官によって私用メール問題の捜査再開が発表された件。*1

 ・ドナルド・トランプ勝利を有利にするためロシアがサイバー攻撃を仕掛け、クリントン陣営の内部メールが暴露された件。*2

これに対してツイッター上の反応では、ヒラリーはわかってない、単に多くの中間層の心を捉えられなかったせいだという発言が目立った。

上記の2つも敗因の一部なのかもしれないが、なぜこれらの中間層の人々の支持を得ることが出来なかったのか。そして、なぜ今なお嫌われているのだろうか。

トランプを支持した多くの白人中間層とヒラリー敗北のわけ

マイケルムーアが語ったような典型的なトランプ支持者たちは長年の不遇により、反エリート、反グローバリズム、反リベラルという共通点があった。
彼らは困窮しており、白人である特権を意識できないために被害者意識があり、社会福祉や平等の名のもとの「マイノリティの優遇」に強い反発を覚える傾向があった。
しかし、それをあからさまに批判すると差別主義者と非難され、逆に人格を否定されてしまうという構造があった。そのため、公に本音を吐露することが出来なかった。
このように、彼らは「正しさ」に押し潰されて息苦しさを感じる状況にあったため、PC(ポリティカル・コレクトネス)を無視したトランプの発言に強く惹きつけられたのだ。*3

そのため、彼ら自身がそれほど差別的ではないのにも関わらず、トランプが過激な差別的発言を繰り返し、リベラルがそれに「正しく」反撃すればするほどトランプ支持が強まっていくという状況が生まれた。
そして、ハリウッドのセレブや有名ミュージシャンらがヒラリーの応援演説をすればするほど、取り残された人々は冷めていった。

また、オバマはグローバルな出自でエリートの黒人というまさに「正しさ」の象徴であった。
続くヒラリーが女性初の大統領になり、銃規制をし教育に力を入れグローバルな発展を約束することは、直接彼らを救ってくれる解決策ではなかった。
彼らは自分たちを脅かす「不法移民」を取り締まり、愛する国を危険にさらす「テロリスト」を入国させず、「正しさ」ではなく自分たちのために対応してくれるリーダーが必要だった。
もうこれ以上「正しさ」のもと自分たちが取り残されるのは嫌だったのだ。
本来なら、これらの欲求に答えるのはもっと別の人物だったのかもしれないが、彼らの望むものを提示できた人間は他にいなかった。

ヒラリーが「正しい」総括をすればするほど、彼らの心は離れていく。

*1:コミー氏がそういった内容の書簡を連邦議会に送ったという報道:クリントン氏の私用メール問題、FBIが再捜査 トランプ氏「国民はちゃんと分かっていた」

*2:「プーチン大統領がサイバー攻撃指示」情報機関が報告書を公表、トランプ氏も認識

*3:なお、一部の支持者は過激化し、ネオナチやKKKのような白人至上主義的イデオロギーを掲げる極右団体がトランプ支持を表明した。また、オルタナ右翼という従来の保守には納まらない新たな一派も出現した。

ペプシの新CMが大炎上!?ブラック・ライヴス・マターと公民権運動。

1960年代のアフリカ系アメリカ人公民権運動

「グローリー/明日への行進」という映画がある。この映画の原題は「Selma」だ。
アメリカのアラバマ州セルマを指しており、1965年に黒人の公民権を求めてキング牧師が率いたセルマからモンゴメリーまでのデモ行進を描いている。

グローリー/明日への行進 [DVD]

グローリー/明日への行進 [DVD]

 

内容(「キネマ旬報社」データベースより)
世界を愛で変えようとしたキング牧師の実話を描いたドラマ。1965年、黒人の選挙権を求める525人の同志と共に、キング牧師アラバマ州セルマの地でデモ行進を始める。ところが、そこで待ち受けていたのは白人の州警察と民兵隊による弾圧だった。
出典:amazon.co.jp
wikipedia:グローリー/明日への行進

1960年代、セルマではなお人種差別的な施設分離がなされており、食堂や映画館などでは席が分かれていて黒人が白人席に座ると暴力を受けたり逮捕された。
また、黒人住民の1%しか有権者登録がされてなかったが、これは脅迫や差別により不当に登録を阻害されていたためであり、実質、選挙権は認められていなかった。

このような差別に反対する人々が、合衆国憲法違反を訴えて民主的なデモを行ったが、警察による暴力によってことごとく鎮圧された。
中でも、1965年、3月7日日曜日に行われたセルマからモンゴメリーまでの行進は「血の日曜日」と呼ばれ、警察の催涙ガスやこん棒による暴力で多くの無抵抗の人々が負傷し、17人が重傷で病院へ搬送された。
この悲惨な事件は現場からTV放映され、全米の世論に大きな影響を与えた。
また、Amelia Boynton Robinsonさんという一人の女性が重体となった写真は、センセーショナルに新聞や雑誌などで取り上げられた。google:image:amelia boynton robinson photo
その結果、公民権運動は世論の支持を獲得し、同年アメリカ合衆国議会は「1965年選挙権法」を成立させ、投票における人種差別を禁じた。

この一連の公民権運動は多くのアフリカ系アメリカ人にとっての政治的なイメージの原点となっており、近年問題になっている「Black Lives Matter」は新たな公民権運動であるとも言われている。

「Black Lives Matter(ブラック・ライヴス・マター)」運動とは何か。

「黒人の命も大切だ」と訳されることが多い「Black Lives Matter(以後BLM)」は、警察の黒人射殺に対する抗議デモに端を発する権利運動だ。
2012年に、フロリダ州で当時17歳トレイボン・マーティン(アフリカ系)が自警ボランティアのジョージ・ジマーマンによって射殺された。この事件に無罪判決が下りたのをきっかけにBLM運動は始まった。*1
wikipedia:トレイボン・マーティン射殺事件
以前より、アメリカでは黒人に対する警官の暴力が度々問題となっていたが、MLB運動が盛んになると、全国で次々と警察による暴力を告発するデモがわき起こった。
中でもデモの中心的な根拠となったのが、2014年にミズーリ州ファーガソンで丸腰の18歳の黒人青年マイケル・ブラウンが白人警察官によって射殺された事件だ。wikipedia:マイケル・ブラウン射殺事件
この事件を契機にデモは激化していったが、警察による黒人の射殺は後を絶たなかった。

そんな中、2016年7月テキサス州ダラスで警察5人が射殺されるという事件が起きてしまった。そしてその10日後、ルイジアナ州バトンルージュで警察3人が射殺された。容疑者はどちらも黒人男性で意図的に警察官を狙ったとされる。

これらの事件はBLM運動とは直接関係は無いものの、アメリカの分断は進んでおり、暴力的なヘイトクライムは増加傾向にある。

そんな情勢を背景にして、ペプシの新CMがツイッター上で炎上した。

www.youtube.com

主演のケンダル・ジェンナー(Kendall Jenner)はリアリティTVで有名になったセレブモデルだ。
CMを見ていただければわかるが、マイノリティのデモに金髪のカツラを脱ぎ捨てた白人セレブが仲間入りして、警官にコーラを渡して解決するという内容だ。
彼女が警官に向かって対峙するシーンは、BLM運動で話題となった一人の黒人女性が武装した警官隊の前に立ちはだかる写真を彷彿とさせる。*2

f:id:YagimiyaG:20170407000726j:plain

widerimage.reuters.com

CMに対するツイッターまとめ

呟かれたツイートのうち、よく見られた文言を以下にまとめた。

・警官が暴力的に描かれていない。催涙スプレーもやらないし、丸腰の人を撃ったりもしない。
・プロテスト運動の歴史を軽視している。
・現実から離れたファンタジーだ。

・白人特権とセレブの無理解を象徴している。
・武装した警官の間を縫って歩けるのは白人女性だけなのは事実。

・BLM運動を利用して金儲けしようとしている。
・警官による暴力の被害者に謝罪しろ。
・ケンダルジェンナーも被害者だ。-いや同罪だ。
・彼女がレイシズムや差別、不平等、貧困と一度も戦ったことの無い特権階級の人間の代表みたいに扱われてるけど、それは彼女に対する侮辱だ。
・上層部は多様性を求める運動についてまるで理解していない。

・逆にCMのひどさに皆が団結した。
・別に悪くなかった。みんな気にしすぎ。白人女性が警官にコーラをあげただけ。

ペプシの謝罪とCMの撤回

この騒動を受けてペプシは謝罪し、CMを撤回した。
また、ケンダル・ジェンナーを矢面に立たせたことについても謝った。

ツイッターでの反応は、多くのユーザーによる様々な呆れ顔の画像の引用と「で、何に対して謝ってるの?」という返信が目立った。

炎上の理由

CMに描かれている上っ面の多様性は、企業の現状認識の甘さを露呈しており、時代遅れだと受け取られているようだ。

”グローバルな連帯が意味するものが、人種の違う人同士がコーラ片手に和気あいあいと歌いながらピクニックすることだった単純な時代を思い起こさせる。”

また、お花畑リベラルを意味するlibtardという言葉も目立った。*3

BLM運動の切実さ、多くの人間が犠牲になっている状況を鑑みると、CMがあまりに能天気すぎたのが問題だろう。
現状にあまりにそぐわない無神経な描き方によって、BLM運動が軽視され、白人特権が余計に際立つという受け取られ方をしている。
ペプシCMは世情に安易に歩み寄った結果、皮肉なことに意図せず、白人特権の無理解を代弁してしまったようだ。

しかし、やり方を大きく間違えた事が問題なだけで、融和を呼びかけようとしたその姿勢は評価すべきだろう。
人種間の分断はお互いに理解し合い、歩み寄るしか解決策はない。
世界の変化はスピードを増しているが、しかし現状を好転させるにはセルマの行進のように辛抱強い歩みが必要である。

良きことはカタツムリのようにゆっくり進む。だから、自分のためでなく人々のために働く人は、いたずらに急がない。なぜなら、人々が良きことを受け入れるには、多くの時間が必要なことを知っているからだ。-マハトマ・ガンジー

ガンディー 獄中からの手紙 (岩波文庫)

ガンディー 獄中からの手紙 (岩波文庫)

 

*1:なお、この事件自体は黒人差別によるものとは断言できず、フロリダ州の正当防衛法(Stand-your-ground law)に原因があると思われる。この法は、自己防衛のために銃の使用を認めたもので、正当防衛の客観的な証拠(認定要件)なしに発砲が可能であるという。この法の制定後に州内の殺人件数は増加したという。

*2:ルイジアナ州バトンルージュにおける抗議デモの際、武装した大勢の警官を前に対峙する一人の黒人女性(Ieshia Evans)。この写真は抗議デモの象徴となった。なお、この女性はデモの際に立ち退きを拒否して逮捕された。

*3:「liberal:リベラル」+「retard:間抜け」 リベラルと称する間抜け。絵空事を並べるだけで現実対応能力がない、という意味。

住宅バブル再燃!?オーストラリア地価高騰のわけ。

マネーショートという映画がある。
サブプライムローンの破綻を見越して、住宅バブル崩壊に賭けて空売りで儲けた奴らの話だ。*1

2004年から2006年にかけて、アメリカ合衆国では住宅価格が上昇し、住宅ローンの債権が高利回りの金融商品として脚光を浴びていた。多くの投資家たちがそうした金融商品を買いあさる中で、いち早くバブル崩壊の兆しを読み取った投資家もいた。本作はそんな彼らがどのようにしてサブプライム住宅ローン危機の中で巨額の利益を上げたのかを描き出す。
出典:amazon.co.jp
wikipedia:マネー・ショート 華麗なる大逆転

サブプライムローン問題という堅い題材だが、軽やかなタッチで描いていてとても面白かった。
中でも、マーゴットロビー*2が泡風呂に浸かりながらサブプライムとは何かについて説明してくれるシーンが白眉で、説明自体は分かりやすいのに全然頭に入ってこないのが印象的だった。
住宅バブルを前提に支払い能力の無い人にも組ませるサブプライムローンサブプライム債権を無責任に混ぜ込んだ金融商品、そして格付け会社による評価を誰も疑わなかった事等が重なり、結果として住宅価格が下降し始めると大量の債務不履行が発生、一気に経済危機に陥った。
複雑な過程を経てリスクが隠蔽され、売った側の証券会社が想像していたよりもはるかに大変な事態になった。

現在から過去を振り返ってみると、リーマンショックから時代の流れは大きく変わり、その後のオキュパイ・ウォール・ストリート、そしてトランプ当選と一連の動きがつながりを持って見て取れる。*3

そんなリーマンショックで世界的な金融危機に陥ってからさほど経っていないにもかかわらず、世界ではまた住宅バブルが起きているという。

”オーストラリアの住宅バブルは止められるのか?”
(記事タイトル意訳)

オーストラリアでは最近、住宅バブルが過熱しており、海外からの資本の流入がその主な原因だという。
政府は海外投資家の動きを制限したいと考えているが、なかなか難しい現状のようだ。

当局による規制
近年、住宅不動産購入に対する増税を行っている国が増えている。
具体的には、購入に必要な頭金を増やしたり、実際に人が住んでおらず単に投資の対象となっている空き家に税金をかけるという。
オーストラリアでは当局が銀行に、IO(アイ・オー)ローンの割合を引き下げ、また少ない頭金でローンを組むのを止めるよう命じたという。*4*5

しかし、その勢いは収まらない。
オーストラリアの二大都市であるシドニーメルボルンの不動産価格はこの1年で急騰しているという。
シドニーの住宅価格は高騰し、いまや香港に次いで世界で2番目に高いという。
また、メルボルンの地価は週に7,500ドルも上昇中だという。
開発業者はキャッシュフローを大きくするために、小さくて戸数が多いアパートを沢山建設しており、この3年間のうちに海外投資家たちが数千棟も購入したという。

その大きな原因
まず、中央銀行の超低金利政策がバブルに拍車をかけているという。
中央銀行は長い鉱業ブームの終焉にあえぐ経済を回復するため、過去最低金利である1.5%を維持している。
次に、中国人投資家の存在も大きな要因だという。
投機的な投資家たちによってオーストラリアの地価が高騰するが、彼らは売り逃げをする傾向があるため経済的なリスクが高まるという。

政府の対策には限界がある
ロンドンやニューヨークなどは近年、政策を実行したことで外国人による投資は収まったという。
カナダのバンクーバーも資産税の増税と、空き家に税金をかけたら中国のネット投資家による土地売買が減少した。
しかし、世界中の土地開発において、政策で住宅バブルを防ぐことには限界がある。
なぜなら、政策により海外投資家の熱が収まったとしても、関心が他の場所に移るだけだからだ。
海外投資家への税制が緩いニュージーランドのような国は、近年地価が高騰しているという。
今回のオーストラリアの税制改革も、他の都市や別の国へ投資家の目が移るだけかもしれない。

世界の投資ビジネスは市場原理に従うオートマチックなシステムなので、規制をかけて守るのか、ある程度の恩恵をこうむるのか、やはりコントロールする事が最も重要だ。
チャイナマネーの存在感は強烈だが、でもそれ自体もいつまで続くのかわからない。
世界は問題だらけで、狂っている感は否めない。でもまあ、そういうもんだと割り切って生きるしかないだろう。
サブプライム問題も一般人の無知をベースに起きている訳だし、とにかく物事を知ってないと身を守ることは出来ない。一歩ずつ勉強していこうと思う。

*1:厳密には金融商品債務不履行により紙くずになった時のための保険をかけた。

*2:スーサイドスクワッドのハーレイクイン役で大人気

*3:バーニーサンダースとトランプはそれぞれエスタブリッシュメント批判をしたが、民主的な社会主義ではなく反動的なポピュリズムが勝利したと考えられる。

*4:IOローンとは「Interest Only Loan=利息のみを支払うローン」の事で、文字通り当面は利息のみを支払えばローンを組んでオッケーというものだ。これは単に元本の支払いを先延ばしにするという返済方法で、このローンでは自己資金がなくても住宅を購入することができるようになる。
これは、まず住宅価格が上がっていくことが大前提となっている。
将来的に、買った時より高い値段で住宅が売れれば、差額で儲かるという売り文句だ。
しかし、住宅価格が下落したらすぐにローンは焦げ付く。このIOローンがアメリカのサブプライムローン問題における悪玉で、高リスクな借り手が増大し、債務不履行が発生した原因のひとつだという。

*5:英米圏の住宅ローンは基本的にノンリコースローン(Non-Recourse Loan=非遡及型融資)で、返済の元手が担保とする物件だけに限られるというもの。つまり、返済できなくなっても家を手放せば借金は残らない。
日本の銀行の場合、ほぼ全てが「リコースローン」(Recourse Loan=遡及型融資)なので、担保不動産以外にも借り手の財産や給料が返済の元手にされてしまう。