世界は狂っているから面白い

海外ニュースの紹介ブログ。映画好き。

プラスチック汚染で海が危ない!?見たくないものを見せてくれる芸術家は凄い。

見たくない現実を突き付けてくる映画というのは山ほどあって、なおかつ名作とされているものが多いと思う。
映画が社会的に担っている役割の一つに、問題提起があるのは間違いないだろう。
なので、世界の映画祭で賞を獲るものには重く、目を背けたくなるような現実が描かれた作品も多い。

100,000年後の安全」という放射性廃棄物のその後を追ったドキュメンタリー映画がある。

100,000年後の安全 [DVD]

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フィンランド西スオミ州サタクンタ県の自治体エウラヨキのオルキルオト島にある放射性廃棄物処理施設(オンカロ)が廃棄物で満杯になる予定の100年後までの安全性確保と、安全レベル到達に10万年を要することの危険性を後世に伝える困難を描いたドキュメンタリー映画である。
wikipedia:100,000年後の安全

 フィンランドにある放射性廃棄物を保管する施設、オンカロフィンランド語で穴の意)。
放射性廃棄物が放射性崩壊により半減期を経て、無害化するまでに10万年程かかるという。
2100年までにオンカロの中に放射性廃棄物を詰め込んでそれから入口を閉じて、10万年間立ち入りを禁止するらしい。
1万年前に氷河期が終わり、人類の文明が誕生してからまだ数千年。
10万年前というと人類の祖先のホモサピエンスがアフリカを飛び出した頃らしい。
10万年。そんな想像するだけで気の遠くなる途方もない年月、大量の放射性廃棄物を管理する事が果たして可能なのか。
そもそもまず、人類が存続しているかどうかさえわからない。
科学者たちは未来人にオンカロが危険な場所であることを、一体どうやって伝えたらよいか真剣に知恵を巡らせて考えている。まるでSFの世界だ。

人は見たくないものを避ける。誰だって、わざわざ気分を害するような真似はしたくない。
しかし、見たくないからといって、事実をないがしろにして行動を変えずにいたら、悲惨な結末を招いてしまうかもしれない。
アーティストはそうした人々の「見たくないもの」を見せるのが責務なのだろう。

ロンドンでは思わず目を背けたくなるような像が町中に展示されるそうだ。

”気分を害するかもしれないが、嘔吐するカモメの像を直視すべし。”
(記事タイトルの和訳)

記事によると、著名な彫刻家であるJason deCaires Taylorさん*1環境保護団体グリーンピースと協力して、“Plasticide”と名づけられた作品群をセントラルロンドンのロイヤル・ナショナル・シアターの外に展示する予定だという。
中でも目を引くのは、浜辺で休日を楽しむ家族の横で、カモメが飲み込んだ大量のプラスチックを嘔吐している像だ。

世界中の海に排出されたプラスチック片の総量が大変な事になっているらしい。
毎年、800万トンのプラスチックが海に流されており、2050年までにはなんと全ての魚の総量よりもプラスチックの方が多くなってしまうという。
海鳥はエサと勘違いしてプラスチック片を飲み込むので、調査によると、約9割の海鳥の胃袋から欠片が見つかるそうだ。

大手飲料メーカーはリサイクル可能なボトルを生産しているが、それも実際は持続可能な解決策とはいえないという。
なぜなら、そのボトル自体がリサイクル可能でも消費者がリサイクル用のゴミ箱に捨てるとは限らないからだ。
記事では、リサイクルされたプラスチックだけで全てのボトルをつくるという方法を環境保護団体が提案しているというが、それもあまり現実的とは言えないだろう。
なぜならやはり、企業はコスト感覚で運営されているので、もしそれが可能なら生分解性プラスチックへの代替も検討できるはずだろう。

これは地球温暖化の問題と同じく、どこか一つの国だけで対処できる話ではなく、世界規模での対策が必要なのだが、それゆえに事態を好転させる難しさがあるのだと思う。
かといって、個人の意識を変えるなんて悠長なこと言ってる場合か、とも思うし、なかなか対策を講じにくい歯がゆさを感じる。
少なくとも、地球温暖化オンカロもカモメの嘔吐も急速な経済発展や科学技術の進歩に対して、人類の意識が全然追いついておらず、コントロールできていない事の表れであるのは確かだろう。
見たくないものをあえて見続ける、そんな矛盾を引き受ける辛抱強さが全ての人に必要とされている時代なのかも知れない。

*1:Jason deCaires Taylorで画像検索するとなかなかユニークな彫刻を作ってて面白い。google:image:Jason deCaires Taylor