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ハヤブサがブドウ畑を守る!?カリフォルニアワインを支える頼もしい味方。

サイドウェイという映画がある。

教師をしているマイルスはバツイチで小説家志望。ワイン通のマイルスは親友のジャックの結婚前、二人でカリフォルニア州サンタバーバラ郡のワイナリー巡りに出かける。独身最後のひと時を極上のワインとゴルフで楽しもうというマイルスの思惑をよそに、ジャックは女をひっかけることしか頭にない。wikipedia:サイドウェイ

中年のおっさん二人がカリフォルニアのワイナリー巡りをするロードムービーである。
アレキサンダー・ペイン監督らしい演出が効いた渋みとコクのある悲喜劇で、ほのかに酸っぱい大人の青春映画だ。
作中では、大好きな作家であるチャールズ・ブコウスキーの引用もあって、自分の好きな映画の一つとなっている。

この映画に影響を受けたというわけではないが、実は去年、私はブドウ農家の研修を受けていた。
結果としては残念ながら就農は断念したものの、貴重な体験ができて本当に良かったと思っている。
全くの未経験だったのだが、農業をやってみて一番驚いたのは防除の重要性だった。
商品作物は保護が必要不可欠だ。放っておいたら病気や虫、動物にやられて全滅してしまう。
そのため、雨除けハウスにビニールをかけたり、草刈りをしたり、鳥除けネットを設置したり、農薬を散布したりと、その大半を防除にあてる事になる。
中でも、カラス等の害鳥は果実が熟れてくると遠くから狙っているのが目で見てわかるので非常に焦る。
まさに、自然との闘いだ。
そんなバトルに日々明け暮れていたのだが、海を隔てたワイン用ブドウ栽培の本場ではこんな試みがなされているという。

”ブドウ畑の翼の生えた守り主”
(記事タイトル和訳)

カリフォルニアにあるラムズゲートワイナリーでは、ハヤブサがブドウ畑の監視役として効果を上げているという。
有名なワインの産地であるカリフォルニアは自然豊かだが、その分ブドウの天敵も沢山いる。
例えばシカ、ウサギ、コヨーテ、アライグマ、キツネ、鳥類が挙げられるが、中でも一番厄介なのがヨーロッパムクドリだという。

ヨーロッパムクドリは1930年代に北カリフォルニアに外来種として持ち込まれ、ブドウ畑が増えるとそれに伴って生息域を広げた。彼らは群れで行動し、商品作物を台無しにしてしまう。
爆音機、カラーテープ、そして防鳥ネット等の伝統的な方法で鳥よけ対策をしたが、どれもあまりうまくいかなかった。
そして、ワイナリーはキャサリン・ティーガンさんという鷹匠と相棒であるハヤブサのラリー君を雇うことにした。
ハヤブサは生態系の頂点に位置し、自然界では他の鳥を狩る性質がある。なので、他の鳥は自分が狩られると思って一目散に逃げていくそうだ。*1
ティーガンさんの会社では空港やゴルフ場のような害鳥問題を抱える場所に、ハヤブサ等の猛禽類を配置し、被害を減らすという事業を行っている。
動物の自然な性質を利用しているだけなので、うまく運用できれば特にデメリットもない。*2

この方法はブドウ畑にマッチしていてとても効果を上げたという。
経営者によると50%は被害を軽減できており、試算すると年間250,000ドルにも上るロスカットだ。

しっかりとした管理ができれば非常に有用な手段であることは間違いない。*3

いつかカリフォルニアのワイナリー巡りをするのが私の秘めた夢である。
その時は、ブドウ畑の空を颯爽と駆け抜けるハヤブサの姿が見れるかもしれない。

*1:この一連の過程でムクドリは傷付けられずに済むという。ハヤブサは飼い主からご褒美にウズラ肉をもらって満足するそうだ。

*2:なお懸念事項として、やはりハヤブサには危険性もあるので、きちんと管理をする必要があるという。ティーガンさんのようにハヤブサ飼育者のライセンスを取得するには何年もかかるらしい。そのため、ハヤブサの不法所持や連邦政府の許可が下りていない猛禽類の利用が問題になっているという。

*3:日本国内でも猛禽類を利用した害鳥防除のサービスが進んでいて、女子大生鷹匠の石橋美里さんが一時話題となっていた。google:株式会社 ファルコンウィング