世界は狂っているから面白い

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住宅バブル再燃!?オーストラリア地価高騰のわけ。

マネーショートという映画がある。
サブプライムローンの破綻を見越して、住宅バブル崩壊に賭けて空売りで儲けた奴らの話だ。*1

2004年から2006年にかけて、アメリカ合衆国では住宅価格が上昇し、住宅ローンの債権が高利回りの金融商品として脚光を浴びていた。多くの投資家たちがそうした金融商品を買いあさる中で、いち早くバブル崩壊の兆しを読み取った投資家もいた。本作はそんな彼らがどのようにしてサブプライム住宅ローン危機の中で巨額の利益を上げたのかを描き出す。
出典:amazon.co.jp
wikipedia:マネー・ショート 華麗なる大逆転

サブプライムローン問題という堅い題材だが、軽やかなタッチで描いていてとても面白かった。
中でも、マーゴットロビー*2が泡風呂に浸かりながらサブプライムとは何かについて説明してくれるシーンが白眉で、説明自体は分かりやすいのに全然頭に入ってこないのが印象的だった。
住宅バブルを前提に支払い能力の無い人にも組ませるサブプライムローンサブプライム債権を無責任に混ぜ込んだ金融商品、そして格付け会社による評価を誰も疑わなかった事等が重なり、結果として住宅価格が下降し始めると大量の債務不履行が発生、一気に経済危機に陥った。
複雑な過程を経てリスクが隠蔽され、売った側の証券会社が想像していたよりもはるかに大変な事態になった。

現在から過去を振り返ってみると、リーマンショックから時代の流れは大きく変わり、その後のオキュパイ・ウォール・ストリート、そしてトランプ当選と一連の動きがつながりを持って見て取れる。*3

そんなリーマンショックで世界的な金融危機に陥ってからさほど経っていないにもかかわらず、世界ではまた住宅バブルが起きているという。

”オーストラリアの住宅バブルは止められるのか?”
(記事タイトル意訳)

オーストラリアでは最近、住宅バブルが過熱しており、海外からの資本の流入がその主な原因だという。
政府は海外投資家の動きを制限したいと考えているが、なかなか難しい現状のようだ。

当局による規制
近年、住宅不動産購入に対する増税を行っている国が増えている。
具体的には、購入に必要な頭金を増やしたり、実際に人が住んでおらず単に投資の対象となっている空き家に税金をかけるという。
オーストラリアでは当局が銀行に、IO(アイ・オー)ローンの割合を引き下げ、また少ない頭金でローンを組むのを止めるよう命じたという。*4*5

しかし、その勢いは収まらない。
オーストラリアの二大都市であるシドニーメルボルンの不動産価格はこの1年で急騰しているという。
シドニーの住宅価格は高騰し、いまや香港に次いで世界で2番目に高いという。
また、メルボルンの地価は週に7,500ドルも上昇中だという。
開発業者はキャッシュフローを大きくするために、小さくて戸数が多いアパートを沢山建設しており、この3年間のうちに海外投資家たちが数千棟も購入したという。

その大きな原因
まず、中央銀行の超低金利政策がバブルに拍車をかけているという。
中央銀行は長い鉱業ブームの終焉にあえぐ経済を回復するため、過去最低金利である1.5%を維持している。
次に、中国人投資家の存在も大きな要因だという。
投機的な投資家たちによってオーストラリアの地価が高騰するが、彼らは売り逃げをする傾向があるため経済的なリスクが高まるという。

政府の対策には限界がある
ロンドンやニューヨークなどは近年、政策を実行したことで外国人による投資は収まったという。
カナダのバンクーバーも資産税の増税と、空き家に税金をかけたら中国のネット投資家による土地売買が減少した。
しかし、世界中の土地開発において、政策で住宅バブルを防ぐことには限界がある。
なぜなら、政策により海外投資家の熱が収まったとしても、関心が他の場所に移るだけだからだ。
海外投資家への税制が緩いニュージーランドのような国は、近年地価が高騰しているという。
今回のオーストラリアの税制改革も、他の都市や別の国へ投資家の目が移るだけかもしれない。

世界の投資ビジネスは市場原理に従うオートマチックなシステムなので、規制をかけて守るのか、ある程度の恩恵をこうむるのか、やはりコントロールする事が最も重要だ。
チャイナマネーの存在感は強烈だが、でもそれ自体もいつまで続くのかわからない。
世界は問題だらけで、狂っている感は否めない。でもまあ、そういうもんだと割り切って生きるしかないだろう。
サブプライム問題も一般人の無知をベースに起きている訳だし、とにかく物事を知ってないと身を守ることは出来ない。一歩ずつ勉強していこうと思う。

*1:厳密には金融商品債務不履行により紙くずになった時のための保険をかけた。

*2:スーサイドスクワッドのハーレイクイン役で大人気

*3:バーニーサンダースとトランプはそれぞれエスタブリッシュメント批判をしたが、民主的な社会主義ではなく反動的なポピュリズムが勝利したと考えられる。

*4:IOローンとは「Interest Only Loan=利息のみを支払うローン」の事で、文字通り当面は利息のみを支払えばローンを組んでオッケーというものだ。これは単に元本の支払いを先延ばしにするという返済方法で、このローンでは自己資金がなくても住宅を購入することができるようになる。
これは、まず住宅価格が上がっていくことが大前提となっている。
将来的に、買った時より高い値段で住宅が売れれば、差額で儲かるという売り文句だ。
しかし、住宅価格が下落したらすぐにローンは焦げ付く。このIOローンがアメリカのサブプライムローン問題における悪玉で、高リスクな借り手が増大し、債務不履行が発生した原因のひとつだという。

*5:英米圏の住宅ローンは基本的にノンリコースローン(Non-Recourse Loan=非遡及型融資)で、返済の元手が担保とする物件だけに限られるというもの。つまり、返済できなくなっても家を手放せば借金は残らない。
日本の銀行の場合、ほぼ全てが「リコースローン」(Recourse Loan=遡及型融資)なので、担保不動産以外にも借り手の財産や給料が返済の元手にされてしまう。