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世界は狂っているから面白い

海外ニュースの紹介ブログ。映画好き。

電気椅子や銃殺刑に逆戻り!?アメリカの死刑を巡る論争とコブラ効果。

デッドマン・ウォーキング」という映画がある。

 死刑間近の死刑囚をじっくりと描いていて、特に、死刑執行のシーンはリアルでかなり心が苦しくなる。
ショーン・ペン演じる死刑囚はもちろん弁解の余地のない犯罪者なのではあるが、それでも死刑というのは究極に残酷なもので、死刑という制度について考えされられる映画である。

死刑の是非については議論があるので一概には言えないが、なるべくなら苦しくない方法で殺した方が良いのではないかと個人的には思う。
罪を犯した人間なのだから苦しめて良い、という発想は生命の根源的な価値への侵害であり、一般人による殺意の発露に他ならないと思うからだ。冤罪の問題もある。
殺してはいけないというルールを守れない奴は殺す、というのは矛盾していると思うが、しかし、死刑賛成の感情論というのもわからないではない。
そんななか、アメリカでは死刑の現在に関するニュースがあった。

アメリカでは1999年をピークに死刑は徐々に減少しているという。
1994年、80%のアメリカ人が死刑賛成だったが、今日では60%まで下がったそうだ。
というのも、薬物注射による処刑方法が人道的であるかどうかという議論が紛糾しているためである。

・アメリカの死刑の現状
31の州では死刑はいまだ合法だそうだ。
19の州では死刑が行われていないという(ワシントンD.C.でも)。
また、2009年からコネチカットデラウェアイリノイ、メリーランド、ニューメキシコでも死刑が廃止になったようだ。*1

しかし、過去6年の間に17の州で260人が処刑されているという。
テキサス、フロリダ、ジョージアの3つの州で全体の半分以上を占めるそうだ。

・代表的な処刑方法
最も一般的な方法は薬物注射で、死刑を現行している31の州で最も用いられる方法だという。
1982年にテキサスで最初に薬物注射が行われ、アメリカではいままでに薬物注射で1444人を処刑したらしい(171人だけは違う方法だった)。

薬物注射は3つの薬物を必要とする。
まず、1つ目(チオペンタールナトリウムもしくはペントバルビタール)で死刑囚を眠らせ、2つ目(臭化パンクロニウム)で麻痺させる。
そして3つ目(塩化カリウム)で心臓を止めるという。

・死刑に用いられる薬物の禁止
しかし、処刑に用いられる薬物は入手しづらくなってきているという。
2010年ヨーロッパの薬品会社がそれらの薬物のアメリカへの輸出を禁止したそうだ。
イリノイを拠点にする会社ホスピーラもチオペンタールナトリウムの製造をやめ、デンマークの会社ランドベックはペントバルビタールを禁止したらしい。
イギリスはチオペンタールナトリウムの輸出を禁止し、EUは2012年、死刑に使用される薬物の規制を公式に発表したという。

・代替案はうまくいっていない
これを受けて死刑執行州は新たな代替薬物を探し始めたという。
そして、ある州はミダゾラムプロポフォールといった他の薬物を採用したそうだ。

しかし、2014年に訴訟の数が上昇した。
この年にミダゾラムを使用した多数の処刑が行われたが、死刑囚をうまく処刑できなかったそうだ。
オハイオ州のDennis McGuireは死亡するまでの10分間苦しそうにあえぎ痙攣したという。
アリゾナ州のJoseph Woodは死ぬまでの二時間、息苦しそうに空気を飲み込む仕草をしていたそうだ。
オクラホマ州のClayton Lockettは43分間苦しんだ後、心臓マヒで死亡したという。
これらのケースを受けて州では見直しを検討しているが、幾つかの州では死刑囚の弁護士たちがこれらの処刑に合憲性があるのかどうか訴訟を起こしたという。
しかし、まだこのような例は続いていて、アラバマ州のRonald Bert Smith Jr.は13分間苦しそうにして死んだという。

・処刑方法が昔に戻っている
2014年、テネシー州は代替薬物が見つからない場合、電気椅子を使う可能性について述べたという。
翌年、ユタ州では銃殺刑の再導入に関する法案が通過した。
そして、今月アーカンソー州は薬物注射が出来なくなる前に、8人を連続で処刑する予定だという。
しかし、連邦政府は処刑を停止する判決を下したそうだ。
なお、州政府は上訴する見込みだという。

EU諸国や薬品会社は死刑に反対するために薬物の規制を行ったのに、それが見事に裏目に出てしまったという感じだ。wikipedia:コブラ効果
日本では昔から絞首刑というのはお決まりで、このように議論されることもほとんどない。
一部の人権団体を除いて社会における関心も低いようだし、死刑は当然であるという世論が根強いと思う。
社会というものの捉え方や個人が生きる価値を考える事に直接的につながると思うから、死刑についてもう少し考えてみても良いのではないかと個人的には感じる。

 

*1:ネブラスカでも2015年に死刑廃止になったが、2016年に復活した。